UAV/ ドローンに関する

海外ニュースの要約

DroneAnalyst社: ドローン業界にオープンソースの波が来たと報告

 前回の報告(この次の章参照)で米中貿易摩擦によりドローンのハードウェア業界が面白くなってきた事を挙げたが、オープンソース技術を活用して、そのプロトコルを強化する動きがみられる。

 ドローン業界にとってオープンソース技術は新しいものではない。フライト制御に関してはArduPilotとPX4の2つが著名(各々2009年と2011年に発足)

 ソフトウエアのライセンスモデルが異なる。前者がGPLv3で後者がBSD-3。

 フライト制御の他に、パイロットが手元で操作するソフトウェア(QGCとか)、両者が通信するプロトコルであるMAVLink、それに関連するSDK等、エコシステムが構築されている。

 フライトコントローラーのハードウェアとしてはPixhawkが有名で、一時ArdupilotとPX4統合の動きがあったせいで、そのの両方をサポートするPixhawkハードウェア製品も多い。

 何故ドローン業界でオープンソース技術が広まるかについての解説(著者に私見としては、Linuxの歴史を振り返るべきと思う)。

 オープンソース技術の市場規模としては、独自路線のDJIを除いても、独自路線のベンダーも多いため2割に届かない。

 米軍のBlue sUAS 調達方針に伴い今後もこの流れは促進される。 

(著者私見: 本記事は9月開催予定のPX4サミットの広告記事である)

The Rise of Open-Source Drones - Drone Analyst

DroneAnalyst社: ドローン業界が変化した2020年の4つの要因を報告

市場の成熟化と地政学的緊張の高まりに伴い、ドローン業界に取って2020年は変化の年であった。要因として以下の4点を挙げる

  1. 事業採択の成熟化 

  2. 中国産製品に対するセキュリティの懸念

  3. ハードウェア市場は興味深くなった

  4. COVID-19のインパクトは各様


1)事業採択の成熟化 

 FAAの登録データを見ると大型ドローンは産業応用にシフトしている。

業務への取り込み方とドローン適応の長期化から鑑みるとドローン運用面では成熟化がみられる。

 ドローンと関連サービスへの費用投下は大幅増大して2年を超えて長期にわたる。

 以前からの市場予測に対して物流の成長が穏やかだったので、全体の市場伸び率は爆発的とは言えない。

 垂直市場を吟味して価値に見合ったサービスと業者を選ぶので、やみくもにドローン市場成長に浮かれているわけではない。


2)中国産製品に対するセキュリティの懸念

 ここ数年USAでは特定の製品なりデータの流れに対するセキュリティ懸念が高まっている。

 2020年のドローン製品では、27%の購入が遅延しており、代替え製品に向かったのはその内の半分弱である。

 関連サービスの半分強が切り換えられた。残りは失注に繋がった。

 ハードウェア製品のUSAドメスティック化が進みポジティブな面がある反面サイドエフェクトも大きそうな感触。


3)ハードウェア市場は興味深くなった

 DJIの市場占有率は2016年の50%から2018年に74%に上昇したが、上記の理由で69%と若干低下した。

 米中貿易摩擦の影響が続くので、生産国の定義を振り返りたい。本章の最後に引用した図では、ブランドの生産国分類と市場シェアをまとめた。部品についての生産国分類ではない。

 3/4以上を中国メーカーが占め、仏のParrotが続く。

 USAでも新しいエコシステムが登場したことに着目したい。自動運転を掲げるSkydioに牽引されてスタートアップが活躍。

3D ロボティクス社がグローバルにエコシステムを築上げて来て、その3DR社はハードに関しては中国のYuneec社に任せてソフトウェアに事業転換(ピボット)した事が寄与している。


4)COVID-19のインパクトは各様

 あらゆる業種にインパクトがあるが、サービス事業と代理店業務に着目したい。

 この2つの市場では、マーケット面でポジティブではあったものの、全体としては若干ネガティブであった。大手のサービス事業が運用を成熟させていくので、最終顧客の予算増大と契約の長期化に伴い業績は今後上向く。


https://droneanalyst.com/2020/12/04/four-forces-that-shaped-the-drone-industry-in-2020